剝は、往くところあるに利あらず。
獣皮を刀で削り取る、剥ぎ取ることから転じて、物をそぎおとす、かすめ取るを表す。同時にこの剝はものの勢いが衰え尽きることを意味する。「老衰の卦」でもある。
本来高くそびえ立つ山が、激しい風化現象により土が削り取られ、5本の陰爻を崩落したその土砂とし、山が大地に這いつくばり、へたり込む象とみなす。要するに基板に問題があると解する。
上に立つ者は、平素からしたの者に配慮し、自分のよって立つ所を安泰強固にしておかなければならない。
とにかく時運の転換を待たなくてはならない。積極的に動かず、言動を慎み慎重な態度をしなくてはならない。
1 陽が衰え、陰が益々壮んとなる。何をしてもうまく行かない。
2 よって立つ基盤が崩れようとしている。転覆の恐れもある。
3 言動を慎み自重して時を待つしかない。
商売では
努力しても報いられず、詐欺にかかる恐れがある。先方からうまい話を持ち出してくるから乗らないこと。当方にも手違いがあるので、もう一度検討しよう。資金不足で見込みがない。時を待った方がよい。下手に手を出すと無駄な経費がかかって損失を招く。勝負は負け。
初六 危険が足下にあり、灯台もと暗し。衰運の兆し。非難されるとき。
六二 禍が迫り、孤立化していく。退くがより。
六三 つまらない人々の誘惑がある。
六四 災いを受ける。転向するほかない。
六五 情事がもつれる。色難。上司の引き立てあり。
上九 一分の力を残しておくこと。退いて再起を期すこと。望みはある。行き止まり。崩れるとき。急いでは災いを蒙る。
自分の強みを守ること。