豫は、候(きみ)を建て師(いくさ)を行(や)るに利あり。
豫は、悦び楽しむこと。直前の地山謙が謙譲の精神を発揮すると、自然人望が高まり、次第に勢力も広がり万事順調となり余裕も出てきてここ楽しい豫(よろこび)が訪れる。
時はまさに春、天地の理に従って、そこには微塵も無理がない。
また、豫には、時間を掛けて準備を済ました意味もある。それが花咲く時を迎えたので悦びもさらに格別である。何をするにも皆の心を一致協力させやすい。
このような時は、すぐれたリーダーを立てるといい。
①芽がようやく出てきて、季節に例えるなら時あたかも春である。
②皆の心を一つにまとめやすい。願ってもない好機である。
③この勢いを維持しなくてはならない。だが陽気は移りやすい。
繋辞伝「幾を知るは、其れ神か」「君子は幾を見て作(た)ち、日を終うるを待たず」(<幾とは吉凶の形となって表れない、かすかな兆しで、計り知れない陰陽の働きをいう>君子はいち早くこの兆しを察し、行動に移して、一日を漠然と安楽に過ごすことはない)。陽中に陰の兆しを早く察知してこれに対処していかなければならない。
雑卦伝「謙は軽くして豫は怠るなり。」謙はひりくだって己の身を軽しとするが、豫は悦びのあまりつい驕って怠りがちになる。
初六 慢心すれば大失敗。本務を忘れるとき。
六二 誘惑も多い。己の持ち場を守っていくこと。時機をつかむことがむずかしい。
六三 分外の望みをすると失敗。質素倹約に努めよ。
九四 大任を引き受ける。協力を得る。
六五 すらすらいかない。
上六 怠け心が出て身をくずす。方針が間違っている。
商売では、
順調で新規取引もよい。目的を絞っておしてよい。当方が有利であるが、油断すると失敗する。実益は少ない。勝負は勝ち。早いほうがよい。